キャリア

公開日:2023/08/31 更新日:2023/08/31

「営業代行」ってどんな仕事?活躍できる人の特徴とキャリアパス

世間的にはまだ知名度が高いとは言えない営業代行業ですが、実は業界規模がどんどん大きくなっているのはご存知でしょうか?直近では数百社が稼働している業界であり、今後もさらに増えていく可能性があると言われています。
そこで今回は「営業代行業」にフォーカスして解説します。営業代行の仕事内容や、活躍できる人の特徴など、専門家の方のご意見も踏まえて解説しますので、ぜひ自分のキャリアのヒントにしてみて下さい。

この記事の監修

大村康雄氏 株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

 

営業代行業とは?

そもそも営業代行業とはどのような業界なのかを簡単に解説します。営業代行業とは、その名の通り、営業を代行する事業です。クライアントに成り代わり、営業活動を代行します。
世の中には個人と法人と2種類の売り先がありますが、 営業代行業者が代行するのはほとんど法人向けの営業 です。個人向けの営業は、営業が得意な派遣社員を受け入れるという形で行われることが多いためです。このような違いの背景ですが、個人向け営業では秘匿にすべきレベルの高い個人情報が発生することが多く、外部企業である営業代行業者がそれを管理するのはハードルが高いこと。また、派遣社員を受け入れて自社で管理したほうが安全であることが挙げられます。他にも、一般的に法人客よりも個人客のほうが、理不尽なクレームの発生など顧客対応の難易度が高いことが多く、自社でしっかりと訓練した派遣社員を従事させたいと考える企業が多いこともあります。

代行する活動範囲
また、営業活動のどこまで代行するかは主に2種類あります。

<一般的な営業プロセス>
1.商談設定まで
いわゆるアポ取りまでを代行する形です。商談の実施やそこからの提案や成約までのプロセスはすべてクライアントが行います。

2.クロージングまで
成約まですべて代行する形です。任せてしまえば、成約まですべて営業代行業者がやってくれます。

売り切り型の商材の場合はクロージングまで行うことが可能ですが、後工程がある場合は、どこでクライアントに引き継ぐのかが難しくなります。よって、多くの営業代行業者は商談設定までを請け負っているケースが多いようです。

営業代行業者の料金形態
営業代行業者が受け取る料金は、大別すると2つに分けられます。

  • 成果報酬型
    成果に応じて料金をいただくスタイルです。成果の定義に関しても、成約なのか商談設定なのか様々です。定義を成約として、かつ成功報酬しか払われない形態を、俗にフルコミッションと言います。
  • 業務委託型
    稼働したことに対して料金をいただくスタイルです。料金算出の根拠は、コール数、稼働時間数、対応商談数と様々です。

派生形として、この2つのハイブリッド型も見られます。

営業代行業者としては、業務委託型の仕事を増やしたほうが、売上が読みやすいですから経営が安定します。しかし、クライアント目線では、成果報酬型でないと費用が読めず、発注に不安がつきまといます。よって、しっかり成果を出している営業代行業者はクライアントの関係値を高め業務委託型で料金をいただける依頼が増えていき、成果をなかなか出せない営業代行業者は成果報酬型の仕事が残っていくという傾向があります。

営業代行業界が伸びている理由

営業代行業が近年伸びている理由として、 若者の営業嫌い が挙げられます。最近社会人になった世代は思春期から携帯電話を持つケースが多く、例えば友達の家に電話し、親から取り次いでもらうといった経験がない人が多いのが特徴です。そのため、見知らぬ人と電話で話すということに中高年世代が想像もつかないほどの抵抗があるようです。さらに、友達とのやり取りも電話ではなくSNSを介して行われることが多い世代。顔が見えない相手と話すという経験をあまり積んでいません。これらのことから、営業活動にてよく用いられる電話、いわゆるテレマーケティングに抵抗が強く、「無理にやらせて離職してしまわれるよりかは、外注に頼んでしまおう」と判断する会社が増えています。
これが、営業代行業界が伸びている理由の一つです。若者の営業嫌いが改善される見込みは低いですから、今度もこの傾向は続くことが予想されます。
営業代行業が伸びているもう一つの理由は、 育成コストなく、高い営業力と蓄積されたノウハウを活用できること です。自社で営業職を雇用して育成するには時間がかかりますし、正社員を雇用するリスクもあります。営業嫌いな若者が増えている中、それでも営業職、中でもそのプロとも言える営業代行業を志す社会人は、自身のコミュニケーションスキルやメンタルなど営業職に必要なスキルに自信があったり、高い営業成績を挙げて多くのインセンティブを受け取ろうという野心があったりと、営業適性が高いケースが多いのです。
よって、最初から営業適性が高い人材が集まっている営業代行会社に委託をしたほうが、効率よく営業ができます。そのことから、営業が必要なタイミングで営業代行会社と業務委託契約する企業が増えています。

営業代行業者の仕事内容や特徴

ここからは営業代行業者の仕事内容や特徴について解説していきます。

営業代行業者の仕事内容
営業代行業者の中では主に2種類の役割があります。新規顧客開拓担当と顧客対応担当です。業務の中身は文字通り、新規顧客開拓担当は営業で困っている企業を見つけてくる担当です。顧客対応担当は、新規顧客開拓担当が獲得してきたクライアントと向き合い、実際のサービス提供を推進します。
この役割分担は、営業代行会社の中でも各社によって微妙に境界線が異なります。営業代行業者がクライアントとのプロジェクトが始まる典型的な流れは以下のようになっています。

商談から受注までは新規顧客開拓担当が担い、営業方針決定から顧客対応担当が担うのが一般的ですが、営業方針決定までを新規顧客開拓担当が行う場合もあります。実働部分はテレマーケティング業務となることも多く、ここのスタッフはひたすら電話とその改善がメイン業務です。よって「営業方針決定に携われるかもしれない!」と思って入社したら、テレマーケティングばかりやらされるということもあり得ますので、 入社前には自分が何を担当するのかしっかり確認する ことが重要です。

営業代行業界の特徴
営業代行業界で活躍するためには、“絶え間なく勉強する”必要があります。様々な企業の営業を代行するわけですから、様々なクライアントの業界事情がわかっていないといけません。そして、そのクライアントの営業先の業界事情もわかっている必要があります。つまり、一つのプロジェクトにつき、最低でも2業界の知識が必要になるのです。加えて、プロジェクトによっては複数の業界に営業していきますから、業界知識はどんどんつけていく仕事になります。
また、うまくいくかどうかわからない新事業ほど、自社の営業スタッフを投入するのではなく、「外注で試してみてだめだったらやめよう」という発想で依頼されるケースが多いです。よって、これまで世の中になかったサービスの営業相談が来ることも多々あり、新しいテクノロジーや技術についても常に勉強する必要があります。
このように、常に勉強、言い換えると、常に新しい刺激が有り続けるのが営業代行業界の最大の特長です。

営業代行業界に向いている人とは?

このような営業代行業界ですから、実は、営業が好きな人よりも“ 知的好奇心が旺盛な人 ”が一番向いています。そして、次に「クライアントの売上がどうやったら伸びるのか」ですとか「世の中にとって新しい商品やサービスをどのように世に広めていくのか」といったことを四六時中考えないといけませんから、“論理的に物事を考えることが好きな人”にも向いています。
私自身も業界の中の人としてずっと働いていますが、ずっとクイズのお題を出されている感じです。「この企業の売上が上がる営業方針を考えよ」ですとか、「この新サービスが一番ウケる業界はどこか答えよ」みたいなクイズがずっと出続けている感じです。そこだけ聞くと疲れてしまいそうですが、それなりに業歴を重ねている営業代行業者はゼロベースで答えを見つけるのではなく、先輩の知見を借りたり、答えをスピーディーに見つけ出すための分析ツールを持っていたりするかと思いますので、そのような営業代行業者に入社するとスピーディーにノウハウが吸収できるかと思います。

営業代行業者でのキャリアパスとは?

営業代行業者に入社した後のキャリアパスは主に4つです。
1つ目は、昇進です。実績を上げ、部下を持ち、自分のチームを形成すること。
2つ目は、現場のプロになることです。部下を持つのではなく、様々なクライアントから一目置かれるスーパー営業代行スタッフとして個人での稼働実績を増やしていく道です。
3つ目は、クライアントへの転籍です。営業をずっと任せている人が優秀であれば、「うちに来ない?」と言いたくなるのは自然の流れです。そんなエースが離職するのは営業代行業者にとっては痛手ですから、社員目線で言えば立派なキャリアパスです。
最後の4つ目は、独立です。営業ノウハウが溜まり、日頃から様々な企業の営業活動を見ていると、「このビジネスは自分でやってもうまくいくのでは?」と思いつくのも自然なことです。
以上のようなキャリアに魅力を感じる方は営業代行業界に合っているのではないでしょうか?

本記事では、営業代行業界そのものとそこで活躍できる人の説明をしました。まだまだ知名度の低い営業代行業界がもっと盛り上がるべく、多くの方の参入を期待しています。